人仕事通信
 >  >  青森の夏を彩る「ねぶた」。その魅力を伝えるのが私の仕事です
ねぶた大賞

青森の夏を彩る「ねぶた」。その魅力を伝えるのが私の仕事です

今回インタビュアーを務めた私(岩井)は、昨年の春に山形から青森に転勤してきました。見るもの聞くもの初めのことばかりで不安もありましたが、何もかもが新鮮な毎日はどんどん楽しくなっていきました。そして初めて迎えた夏、初めて観た「青森ねぶた祭」。

TVで見たことはあったのですが、実際に生で観るのとでは全く違いました。ねぶたそのものの迫力、ハネト(跳人)の掛け声、祭りのうねり、とにかく圧倒されまくりでした。

そして、何よりもお祭りを機に、こちらにきて知り合った皆さんと一気に距離が近くなった気がしたのがうれしいことでした。

毎年「ねぶた」を見るのが大好きな地元っ子

そんな夏が待ち遠しい青森2年生の私に、今回「ねぶた」について色々教えてくれたのは、青森市にある「ねぶたの家 ワ・ラッセ」でオープン当初からスタッフをしていて今年で7年目という松下三恵さん。

青森市生まれの地元っ子で、「もともと地元でねぶたを見るのが大好きで、ねぶたに携わる仕事がしたかった」というのだから、ワ・ラッセでのアテンダントというお仕事は、正に”待ちに待った”というお仕事だったそう。

一緒に働く仲間は総勢20名ほど。地元の人はもちろんですが、数名は青森以外の方。でも、松下さん曰く「地元の人以上にねぶた愛が深いんですよ」とのこと。

ねぶたの家 ワ・ラッセ

2010年12月、青森に新幹線が開通。ねぶたの家 ワ・ラッセは、それに合わせて2011年1月にOPENしました。

観光の目玉としてだけでなく、地元の方へのねぶた伝承の意味も込めて建てられたもので、ねぶたを展示・紹介するだけでなく、囃子練習の場所提供や、後継者育成事業も推進する新しい観光スポットの誕生でした。

ワ・ラッセ外観

来場者は昨年で累計150万人を突破。県外・外国・遠足・修学旅行それぞれ多数ご来館いただいているそうだ。外国からのお客様も多く、その内4割以上が中国からの来館。修学旅行生も、小学校が約2,000人、中学校が約5,400人が来館しているそう。

アテンダントとして働く日々と、やりがい

――アテンダントとして働く松下さんに、どんな仕事をしているのか聞いてみました。

松下さん:
「仕事は、チケット販売やねぶたの案内、時にはお客様とお囃子・紙貼り体験もしています」。

――来場者には、外国の方も多いとのこと。外国の方を接客するのってなかなか大変そうですが…

松下さん:
「年々増加している外国人観光客に対して心掛けていること、それは『あいさつ』です。日本語を聞きたい方もいらっしゃいますし、一方で、母国語に安心感を感じたい方もいらっしゃいます。だから両方の言葉でご挨拶をしています」。

――昨年からは外国語の勉強会も実施しているそう。

そして自分から楽しむことも大切にしているとのこと。
松下さん:
「写真も大事なコミュニケーションツール。撮ってさしあげるのはもちろんですが、いい撮影スポットを教えてあげるだけでも打ち解けられるんですよ。お囃子などの体験企画も一緒にやりましょう!と積極的に話しかけ、元気に明るく接しています」。

――また、修学旅行で訪れる学生さんたちにねぶたの魅力を伝えるのも、松下さんの大事なお仕事だと言います。

毎年5月頃は、中学生が多いとのこと。北海道、東北だけでなく、兵庫、岡山からも来るとのこと。6月になると、全国から小学生が訪れる。台湾の高校生も、校外学習の一環で来館いただいたこともあるそう。

松下さん:
「修学旅行生は、見学する時間が決められていますよね。限られた時間の中で”見て”、”触れて”、”体験して”…どれだけ楽しく伝えられるか、一緒に楽しめるかを工夫しています」。

――そう語る松下さんはとても楽しそうだった。毎日充実していてうらやましいと思っていたのが伝わってしまったのか、松下さん、にっこりとして、ワ・ラッセでないと見られないとっておきの楽しみ方を教えてくださった。

松下さん:
「実は、ねぶたを”上から”眺めることは、この館でしかできないんですよ」。

――なるほど、お祭りのときは下から「スゴイ!」と見上げますが、ねぶたを”上”から見ることができるなんて・・・考えたこともありません。

松下さん:
「お祭りでは見られないところを見せて、知ってもらえたり、ワーッと驚いてもらえると嬉しいんです。お客様の反応がこのお仕事のやりがいですね」。

ねぶた祭について

ここで、ねぶた祭について少しおさらいしようと思います。

祭りの起源は「眠り流し」

ねぶたの起源は諸説あるようですが、最も有力とされているのが、日本の民俗行事「眠り流し」から発展したものという説。

日本には古くから七夕を中心に、仕事の妨げになる「眠気」を流す・祓う「眠り流し」という行事がありますが、「ねぶた」は、その「眠り」がなまった語であると言われています。つまり、夏の「眠気」を流し、秋の収穫の時期に備える、農山漁村の民俗行事が変化したものが、現在のねぶた祭の起源だというもの。

青森市でいつからねぶた祭が始まったのかは明らかではないようですが、少なくとも300年以上の歴史があることが分かっています。

祭りの規模

毎年8月2日~8月7日の開催で、約300万人が期間中に訪れます。青森県の人口の2倍以上の観客が楽しむこの祭りは東北のお祭りの中でも指折りのイベントと言えます。

「ねぶた師」について

「ねぶた」を制作する人のことを『ねぶた師』と称します。以前は、各町内のねぶた好きの器用な人が制作していたものが、技術が高度になるに従い、企業や運行団体は名のあるねぶた作りの専門家に依頼するように。これが今でいう『ねぶた師』です。現在、ねぶた師として活躍されていらっしゃるのは14名。少数精鋭でやっていらっしゃいます。

ねぶた師は、祭りが終わってひと休みしたら、すぐ来年の構想に取り掛かります。年明け頃になると、構想を平面な下絵に落とし込み、その下絵をもとに、少しずつ、顔や手などの大まかなパーツの制作を進めていきます。5月頃からは、制作場所をねぶたラッセランド(ねぶた小屋)に移し、8月のねぶた祭り本番まではそこでの制作に。ねぶた小屋での実質の制作期間は3ヶ月ほどですが、構想を含めれば一年がかりでねぶたは制作されているわけです。

ねぶたの制作技術は、主に師弟関係により継承されています。針金の組み方・色や墨の入れ方は、流派により異なっているとのこと。ここでは、「伝統」とそれを受け継ぐ魂が確かに息づいていることを感じます。

もっともっと、ねぶたを広めたい

――最後に松下さんに今後の夢を聞いてみました。

松下さん:
「もっともっと、ねぶた祭への関心を高めたいです。ワ・ラッセを見て、動いてる本物を見てみよう!参加してみよう!ってなってもらえると嬉しいじゃないですか。

最近は地元の参加者が少なくなっていますので、観光で訪れた方はもちろん、地元の方にも祭りに参加にしてもらえるように普及していきたいです」。

松下さんからのメッセージ

ワ・ラッセは、ねぶた祭当日も開館しています。祭りの日中は、歴史を学びに来るお客様が多いですね。そんな皆さんに、見るところ、食べるところなど、お祭りの楽しみ方を教えるのも私たちの仕事です。是非、気軽にお越しくださいね。

ご協力、ありがとうございました!
ねぶたの家 ワ・ラッセ(from 青森県青森市) アテンダント 松下三恵さん http://www.nebuta.jp/warasse/