外国人採用を進める前に!きちんと理解しよう「在留資格」

外国人採用を検討する際は、就労希望者が『日本国内で就労することを認められている』のかどうかを確認する必要があります。

就労を公的に認められていることを証明するものが、在留資格です。

ここでは、外国人採用を進めるにあたって、必ず理解しておかなくてはならない在留資格についてご紹介します。よく耳にする『ビザ』との違いについても解説しているため、ぜひチェックしてみてください。

まずビザ(査証)と在留資格の違いを理解しておこう

ビザはあくまで入国の際に必要な書類の一部であり、実際に入国や現地での活動を行うには、ビザとは別に『在留資格』を取得しなければなりません。

  • ビザ…日本大使館・領事館(外務省)が発行する推薦状
  • 在留資格…入国管理局(法務省)が発行する許可証

ビザと在留資格の違いを簡単にあげると、以上のとおりです。

ビザ(査証)

ビザ(査証)は外国で発行されます。日本への入国(上陸)許可を得るための入国審査を受ける際に必要なもので、パスポートに印字されます。

短期滞在ビザ相互免除国(現在は68か国)からの入国者は、一部の滞在目的に対してビザ免除措置が受けられますが、報酬を受ける活動に従事する場合は該当しません。

また、パスポートに記載されたビザの確認のみでは不十分です。ビザで許可されているのは、あくまで入国審査を受けること(上陸すること)に対してのみ。入国審査に通らず、ビザを取得していても入国できないことがあるのは、そのためです。

在留資格

ビザの他、日本国内で活動するには、29種類のうち目的に合った在留資格が必要です。

在留資格は日本国内で発行され、取得したものと異なる活動を行う場合は改めて範囲外の活動を行うための届出をしなければなりません。

届出のないまま(たとえば短期滞在の在留資格者が)就労すると、不法就労となってしまいます。

在留資格を取得すると、中長期在留者には『在留カード』が発行されます。主要空港ではその場で交付されますが、その他の場合、パスポートに上陸許可の証印がされ、後日発行となります。

短期在留者は、在留管理制度の対象より外れることから、在留カードの発行はされません。ただし、短期滞在の在留資格が必要です。

外国人を採用する上で確認すべき在留資格について

入管法で定められている在留資格の範囲内であれば、外国人が日本で就労活動を行うことが認められています。

在留資格によっては、就労できない資格もあれば、制限なく就労ができる資格もあります。

採用の際は在留資格の有無だけではなく、どのような活動目的で取得したものなのかを確認しましょう。

就労可能な在留資格と不可能な在留資格がある

在留資格の種類は、現在29種類におよびます。目的によって就労の制限があるだけではなく、認められている在留期間自体も異なります。

法務省の在留資格一覧表のページを見てみましょう。

法務省の在留資格一覧表(引用:法務省 在留資格一覧表 http://www.moj.go.jp/content/001293198.pdf

上記の通り、様々な在留資格とその資格ごとに就労の制限があるため、在留カードなどで、就業できる資格とその期間が確認できなければ、雇用することはできません。保有する在留資格以外に、バイトなど資格外活動が許可されているケースもあるので、確認しておきましょう。

例えば在留資格のうち「留学」「家族滞在」「短期滞在」「文化活動」「研修」の5種類は就労が認められていません。「留学」と「家族滞在」の2種類のみは、資格外活動の許可を受ければバイトをすることが可能です。

在留資格の確認を怠ると事業主も処罰対象に

在留資格のないまま(在留資格の期限切れ含む)就労すると、不法就労となり、処罰の対象となってしまいます。

これは雇用している側にもあてはまり、事業主も処罰の対象となります。『出入国管理及び難民認定法』の第73条の2にて不法就労助長罪が適用され、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科せられます。

ちなみに、事業主も外国人だった場合は強制退去の可能性もあるため、日本人が外国人を雇用する場合だけではなく、外国人が外国人を雇用する場合も注意が必要です。うっかり処罰対象とならないよう、必ず在留資格の有無・詳細・期限を確認しましょう。

在留資格の更新手続きが必要な場合がある

在留資格には期限が存在します。在留期間の満了が近い外国人の場合、採用時に更新手続きを行わなくてはなりません。

外国人労働者(労働希望者)の状況によって手続き方法は異なります。自力での手続きが困難なときは弁護士・行政書士・特定機関の団体を申請取次者として、代行を依頼できます。

在留資格の更新についての詳細は、法務省の「在留期間更新許可申請」のページをご覧ください。

なぜ在留資格の更新手続きが必要なのか

これまで解説した通り、在留資格にはそれぞれ目的に合わせた期間が定められています。

在留期間を過ぎての就労は不法就労や不法在留となるため、期限満了日を迎える前に更新しなければなりません。

問題がなければ2週間~1か月程度で更新できるため、最低でも1か月前までには所定の手続きを進めることをおすすめします。

このように更新手続きが必要な場合もあるため、在留資格を確認する際は、その種類だけでなく期間も忘れずに確認しましょう。

採用後も外国人雇用状況届などで在留資格の確認が必要になる

外国人を採用する前に在留資格の確認が必要であることを伝えましたが、在留資格の確認が必要なのは、採用前だけではありません。

外国人雇用状況届出書の提出など、外国人を採用した後に発生する手続きでも在留資格を確認したうえで、記載する必要があります。

外国人を採用した後に在留資格の記載が必要な手続きはいくつかありますが、こちらでは「外国人雇用状況の届」について簡単に解説します。

外国人雇用状況の届とは

外国人を雇い入れる場合には、雇用する外国人の情報(氏名・在留資格・在留期間など)や雇用状況をハローワークへ提出する義務があります。すべての事業主に提出の義務があり、離職のときにも、届出をしなければなりません。被雇用者となる外国人が、雇用保険の被保険者かどうかで届出方法が異なるため、ハローワークに詳細を確認しましょう。

届出を怠ると、30万円以下の罰金が科さられることになります。

(参照:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/todokede/index.html

ご紹介した手続き以外にも、様々な手続きや必要書類があります。

外国人雇用状況の届出が不要な外国人もいる

ただし、一部の外国人は雇用状況の届出義務が適用されません。外交・公用・特別永住者の場合は雇用形態に関係なく、届出せずとも日本での活動が認められています。

また、氏名や使用言語によって、中には一見すると外国人か日本人か判断できない方もいます。一般的に明らかではないと判断できるケースでは、在留資格の確認や雇用状況の届出を行わなかったからといって処罰が下されることはありません。

もちろん、外国人の可能性があると分かりながら、意図的に確認や届出を行わなかった場合は除きます。

まとめ

外国人採用を考えるときは、在留資格の存在を忘れてはなりません。加えて、在留資格は一度取得すれば永年利用できるわけではなく、定期的に更新が必要なものです。

こちらのページで解説したとおり、就労不可となっている在留資格もあるため、採用担当者は在留資格の有無や期限とともに、就労可能な在留資格かどうかもチェックしてください。

ルールを破ると、事業主も処罰対象となります。雇用者も就労者も安心して採用・就労できるよう、在留資格の確認を怠らないようにしましょう。