外国人採用で助成金を上手に活用しよう!種類や注意点について

深刻な人手不足により、求人募集をしても人が集まらない問題は、日本の中小企業を大きく悩ませています。人手不足は企業の生産性を低下させるだけでなく、企業がこれまで培ってきたスキルやノウハウを次世代に引き継ぐことが困難になることも危惧されています。

現在、日本には多くの外国人が働いています。彼らの労働意欲は高く、将来の日本を支える大きな柱になる可能性を日々感じさせてくれています。

そんな外国人労働者を積極的に雇用できるように、様々な助成金制度があります。今回は、外国人労働者を雇う際にもらえる助成金と、助成金をもらう際の注意点をご紹介します。

助成金の目的と申請方法

助成金がもらえるとはいっても、その目的はコスト削減のためではありません。企業の課題(人手不足の緩和、競争力向上など)のための行政からの「資金援助」です。

また、外国人労働者に日本語訓練や職業訓練を行い、雇用しながらスキルを磨くための助成金もあります。

助成金の申請は、各都道府県の労働局やハローワークで行うことができます。申請に必要な書類は、厚生労働省のHPから取り寄せることができますが、助成金は申請したからといって必ずもらえるものではありません。実施調査を行いますので、助成金目当てでの外国人採用は見抜かれてしまうでしょう。

さらに外国人を採用することは、安い賃金でより多くの労働力を得ることではありません。日本人と同様、もしくはそれ以上の待遇で雇うことを法律で決められています。例えば、特定技能においては、以下のように定められています。

■第二条の五-2
前項の法務省令で定める基準には、外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならないことを含むものとする。
(参照:外国人採用の教科書 特定技能雇用契約の内容の基準https://visa.yokozeki.net/tokuteiginou-youryou5/)

外国人を採用するときにもらえる助成金

外国人採用でもらえる助成金として、「中小企業緊急雇用安定助成金」と「雇用調整助成金」の2種類があります。この他、制限はありますが外国人雇用にも適応される助成金があります。

中小企業緊急雇用安定助成金

「中小企業緊急雇用安定助成金」は、休業・教育訓練または出向を行った事業主に対して、休業手当、賃金または出向労働者にかかる賃金負担額の一部を助成するものです。

支給要件は「最近3か月の生産量がその直前3か月又は前年同期 比で減少していること」「前期決算等の経常利益が赤字であること」。休業、教育訓練、出向手当等の5分の4と、教育訓練経費として1人1日 6,000円が加算されます。

雇用調整助成金

一方で「雇用調整助成金」は、経済的な理由で事業活動を縮小した事業主が、雇用調整によって従業員の雇用を維持したときに支給されます。

「最近3か月の生産量がその直前3か月又は前年同期比で5%以上減少していること」が支給要件です。休業、教育訓練、出向手当等の2分の1、そして教育訓練経費として1人1日1,200円が支給されます。

参照:厚生労働省

その他の外国人対象になる助成金

対象者の制限はありますが、日本人を対象としている助成金の中にも、外国人雇用に適応される助成金があります。その中のいくつかをご紹介します。

  • トライアル雇用奨励金
    ハローワークや職業紹介事業所などの紹介で、トライアル雇用をした場合に助成する制度です。経歴やスキルなどが原因で就職が難しい人が対象になります。
  • 特定求職者雇用開発助成金
    ハローワークや職業紹介事業所などの紹介で、高齢者や障碍者などの就職困難者の継続雇用をする場合に助成する制度です。
  • キャリアアップ助成金
    非正規雇用の正規雇用を促進し、スキルアップや労働環境の改善を目的とした助成金です。定住者を対象としているので、在留資格が外国人技能実習生、留学、技術実習、家族滞在の方は対象外となります。

同じ助成金でも、コースによって対象者の制限が違いますので、助成金を申請する際に制限をご確認ください。

外国人採用の助成金の注意点

外国人を採用する際に、最も気を付けなければいけないのは、「不法就労」です。

助成金の対象外になってしまう可能性もありますので、採用する前に、就労が認められた「在留資格」を持っているか確認しなければなりません。

在留資格は「定住者」「永住者」「日本の配偶者」「永住者の配偶者」などがあげられます。なお留学や就学、短期滞在では在留資格が取得できません。そのほかの在留資格について詳しく確認したい方は、こちらをご覧ください。【外国人採用 在留資格へリンク】

また、在留資格はどのように確認すればよいのでしょうか。確認できる書類は、以下の通りです。

  • 在留カード
  • パスポートの上陸許可証印
  • 就労資格証明書

在留資格の確認をせずに外国人を採用した場合、「不法就労」を手助けしたとみなされ、「三年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金もしくはその両方の罰則」が与えられますので、必ず在留資格を確認するようにしましょう。

まとめ

外国人を採用した際にもらえる助成金についてご説明しました。少子高齢化社会により日本人労働者はどんどん減ってきている状況にあります。そういった背景から、外国人労働者の採用ニーズはますます高まっているといえるでしょう。
労働意欲の高い外国人労働者は、今後の日本を支えてくれる頼もしい存在として活躍が期待されています。日本の企業側としても、様々なメリットのある外国人労働者を積極的に採用していきたいところです。その際、助成金制度のサポートは企業にとって大きな力になるでしょう。

そのうえで忘れてはいけないのが、助成金は「コスト削減」のためではなく、企業の課題(人手不足の緩和、競争力向上、経済成長の維持など)のための行政からの「資金援助」であるという点です。助成金本来の目的をしっかりと理解して、外国人労働者が更なるスキルアップを図り、企業の課題をクリアにしていけるよう、制度を上手に活用していきましょう。