派遣は健康保険に加入すべき!メリットや契約終了後の手続きもご紹介
はじめて派遣として仕事をする場合、給与や福利厚生だけでなく、健康保険や労働保険の加入条件も、直接雇用の正社員とは異なります。
とくに健康保険に関しては、医療機関で治療を受ける場合や、医薬品を購入する場合に必要なので、詳しく確認しておく必要があるでしょう。
そこで派遣における健康保険の加入条件や保障について、詳しく解説します。また派遣契約が終了した後の対応についても説明します。
【目次】
派遣が健康保険に加入する際の条件
派遣労働者が健康保険に加入する条件について説明します。被保険者になるためには、おもに3つの条件が挙げられます。
1.雇用契約期間が2カ月以上であること。
2.1週間の労働時間が、30時間以上および労働日数が15日以上。または雇用元の一般社員の4分の3以上であること。
3.1週間の労働時間が30時間未満または労働日数が15日未満の場合でも、以下に該当すれば加入対象となります。
(1)週の所定労働時間が20時間以上あること
(2)雇用期間が1年以上見込まれること
(3)賃金の月額が8.8万円以上であること
(4)学生でないこと
(5)常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること
(引用:国民年金機構)
派遣会社の健康保険と国民健康保険では保障が異なる!
派遣会社で加入する健康保険は、自営業者やバイト・パート、年金受給者、無職の人が加入している国民健康保険とは異なります。適応される保障内容についても一緒ではありません。
2つの保険について違いを説明します。
国民健康保険の場合
国民健康保険は各市町村・役場が運営する制度です。企業を退職して、健康保険・社会保険を脱退した場合に加入をする必要があります。
国民健康保険料は、自己負担で全額を支払わなければなりません。
派遣会社の健康保険の場合
派遣会社で加入をする健康保険は、年金や労働保険などといった社会保険のなかの1つです。全国健康保険協会、保険健康組合が保険者となる場合があります。
保険料は、派遣会社との折半になり、配偶者や親など親族を扶養に入れることが可能です。家族構成により、被扶養者が複数人であっても健康保険料が変わることはありません。
派遣会社で健康保険に加入すると、いくつかの利点があげられます。例えば、高額療養費制度を受けられる点です。また万が一の疾病や負傷で会社を休む際に、傷病手当金を申請することもできます。
健康面ではなく子どもが産まれた際にも、出産育児一時金(42万円)が支給されるという給付内容がそろっています。
(参考:全国健康保険協会 子どもが生まれたとき)
派遣の契約が終了したら保険証は返却しよう
派遣の契約が満了となれば、健康保険の加入対象から外れます。受給資格を喪失した際は、健康保険証を返却しなければなりません。
返却をする先は、社会保険事務所です。郵送でも可能ですが、退職日から5日以内が返却期限となっています。
資格が無効になった後に保険証を使用した場合は、不正使用となります。保険証を誤って使った場合は、総医療費の7割から9割を返納金として、協会けんぽに返還しなければなりません。
また健康保険料率に影響を及ぼして、医療費が高額化することにもなるでしょう。個人への負担が大きくなるので、契約期間終了後は保険証を必ず返却することです。
派遣の契約終了後の健康保険はどうする?
派遣契約が満了となり、失業者となった際、健康保険はどのような対応をするのが適しているのでしょうか。
方法としては3つあげられます。国民健康保険へ切り替える方法か任意継続、もしくは家族の不要に入る方法です。それぞれ解説します。
国民健康保険へ切り替える
派遣会社で介入していた健康保険から国民健康保険へ切り替えます。手続きは契約終了日の翌日から14日以内に行わなければなりません。
国民健康保険は傷病手当金の支給はありませんが、出産育児一時金の支給はあります。各市区町村の役所で手続きを行わなければなりません。
なお特定受給資格者、特定理由離職者は、国民健康保険料が軽減される場合があります。
特定受給資格者とは「倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた者」。
特定理由離職者は「特定受給資格者以外の者であって期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理 由により離職した者」が該当します。
(引用:厚生労働省・特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準)
任意継続をする
健康保険の任意継続をすることも可能です。ただし契約終了日の翌日から、20日以内に申請しなければなりません。
「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」を協会けんぽなどの団体に提出する必要があります。もし期限を過ぎた場合は、任意継続の手続きはできないので、注意を払っておきましょう。
任意継続は、最長で2年間の継続が可能です。しかし派遣会社である事業主と折半していた金額、つまり旧居から控除されていた保険料も負担しなければなりません。つまり全額負担ということです。
実質、保険料は2倍になるため、国民健康保険に加入した方が、保険料は安くなる可能性もあります。
一方で、家族・親族を扶養に入れていた場合、社会保険を継続した方が良いケースもあります。時間は限られていますが、国民健康保険に切り替えるか、任意継続するかを吟味する必要があります。
家族の扶養に入る
家族・親族が勤務をしている会社の健康保険に、扶養として入るケースです。就労している企業の健康保険が適用されます。
加入条件・規則に従って、手続きをしましょう。健康保険の具体的な内容は、企業にお問い合わせください。
今まで適用されていた保障内容と異なることもありますが、加入をどうするかは、家族と良く相談をしてみましょう。扶養に入らない場合は、国民健康保険への切り替えか、任意継続の手続きが必要です。
まとめ
派遣として仕事をする場合、健康保険の加入条件はどうなるのかを説明しました。国民健康保険とは違って、派遣労働者ならではのメリットがあります。とくに高額な治療や、子供の出産においては手厚い支給を受けられる。
健康保険は契約期間が終了した後に、どのような対応をするのかが肝心です。国民健康保険への切り替えや任意継続など、しかるべき手続きを速やかに行いましょう。