アルバイトとパートの違いはある?法律上の違いは?
正社員以外の短時間勤務は、「アルバイト」「パート」という呼び方に分かれています。この2つの違いは何なのでしょうか。学生時代はアルバイト、主婦になったらパート。もしくは、より時間が短くマニュアル的に働くのがアルバイト、正社員に準じる仕事をするのがパート、という人もいます。
この2つに明確な違いはあるのか、あるとしたらどこに違いがあるのか。そんな疑問を解決していきます。
1. アルバイトとパートの法律上の違いとは?
実は、アルバイトとパートに法律上の違いはありません。パートタイム労働法によると『1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者』と定められており、条件に当てはまればアルバイトでもパートでも「パートタイム労働者」となります。
(「パートタイム労働者とは|厚生労働省」http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1e.htmlより引用)
有給休暇の取得も可能ですし、社会保険、雇用保険にも加入できます。社会保険に加入する場合は正社員の3/4以上の勤務日数が必要ですが、アルバイトとパートでの違いはありません。労働期間が短期間の場合を除き、一定期間以上の労働を想定している場合は、アルバイトもパートも同じように社会保険、雇用保険に加入できるのです。
扶養控除は収入で定められているので年収103万円以下なら扶養に入ることができ、それ以上なら扶養から外れます。ここでもパートとアルバイトの違いはなく、どちらも労働者として平等に扱われます。
このように、法律上でのアルバイトとパートの違いは全くないと言ってよいでしょう。一般的なイメージによって使い分けられている、というのが実情のようです。
2. アルバイトとパート、業務内容に影響する?
あくまでも一般的なイメージではありますが、どちらかというとアルバイトよりもパート、それも毎日一定時間以上勤務するパートのほうが業務内容は広く、正社員に準じる業務を担うことが多いイメージがあります。
しかし、学生向けの募集をアルバイト、主婦など比較的時間を割くことができる人向けの募集をパートと表記するだけで業務内容が全く同じというパターンも少なくはありません。
つまり、業務内容には法律で決められた明確な差や違いはなく、企業の都合や募集要項によって違うだけということです。
企業によってはアルバイトが「学生対象で短時間勤務・マニュアル作業的な業務」、パートが「主婦など比較的時間を割くことができる人対象で比較的長時間勤務・正社員に準じる業務」と区別していることもあります。しかし、それは法律的な区別ではなく募集企業の都合によって分けられたものですから、他の企業でも同じとは限りません。
応募する時は一般的なイメージだけに左右されるのではなく、募集内容や業務内容をよく確認して、自分の条件とマッチしているかどうかを判断することが大切です。
3. アルバイトとパート、責任に違いはある?
各企業の判断により、アルバイトやパートに任される業務範囲には違いがあります。正社員に準じる業務を任されていたとしたら、その分責任の範囲も広くなりますし、働いている人が感じる重みも違います。
例えば、ホールで接客をするアルバイトと、ホール業務とアルバイト教育を兼務するパート業務だったら、後者のほうが責任範囲も広く、責任感も違ってくるでしょう。そういった「業務範囲の違いによる責任」には違いがあると言えます。
しかし、前述したように両者には法律上の違いはありません。労働者として果たすべき責任には違いはないと言ってよいでしょう。「自分に任された業務を完遂する」「契約した時間分はきちんと業務につく」という当たり前の責任をしっかり果たすことが大切です。
アルバイトもパートも、正社員と違って業務の一部分だけを担当することが多い職種ですが、自分に任された業務を務めるという意味では正社員と変わらない責任があります。
4. アルバイトとパートで給料に違いは出る?
アルバイトとパートでは、給料に明確な差はありません。時給が高ければ当然給料が上がりますが、それは業務範囲や果たす責任の範囲による違いであり、アルバイト・パートの違いによるものではありません。
アルバイトもパートも時給で働く場合が多いため、働く時間が長ければ、当然その分給料が高くなります。正社員ほど長く働かない人が多いため、1日8時間以下の場合がほとんどで、コンスタントに働く人と週2日程度に抑えている人では差が大きくなります。
時給は企業によって定められ、同じ業務でも働く地域や業務内容によって違いがあるため「○○という職種は時給○〇○円」と一概には言えません。
どれぐらいの時給でどれぐらい働けるのかは企業の判断にゆだねられていますので、仕事を探す際は「アルバイト」「パート」の違いではなく、条件面の違いを確認しましょう。高時給でも働ける時間が短く、週3回程度しかシフトに入れなかったとしたら、それほど稼げるとは限りません。
まとめ
自分がどれほどの給料を望んで、どれぐらい働けるのか。そして各企業の募集はどのような条件で募集しているのか。そのマッチングが大切と言えます。応募の際は、「アルバイト」「パート」といった言葉に惑わされず、条件や職種、企業が望む人材などを把握・予測した上で応募するようにしましょう。