アルバイトで確定申告は必要?不要なケースや申告方法について詳しく解説!
確定申告では、払いすぎた税金が返ってくる可能性があります。しかし「手続きが難しそう」と考えている方も多いのではないでしょうか。
確定申告のイメージに関して行われた調査では、「面倒くさい」と思っている人が最も多く34%を占める割合でした。
とはいえ、令和3年1月からスマートフォンで申告時に必要となるマイナンバーカードの読み取りが可能になったり、複数あった申告アプリが統合してマイナポータルアプリが利用可能となったり、以前よりも申告しやすい状況になりつつあります。
今回は、アルバイトをしている方向けに確定申告とはなにか、確定申告の方法について紹介します。
出典:「男女 500 人に「確定申告」に関する調査を実施」(保険マンモス株式会社)
【目次】
アルバイトの確定申告に関する基礎知識!
確定申告を行うには、所得税や源泉徴収の仕組みについて知っておく必要があります。まずは、確定申告に必要な基礎知識を紹介します。
所得税とは
仕事で働いて得た給与には、金額に応じて所得税がかかります。
基本的には年収103万円を超えることで所得税が発生するため、収入によってはアルバイトでも支払わなければなりません。
年収が103万円以下であれば支払い義務はありません。掛け持ちしている場合には給与を合計した金額で考える必要があります。
所得税は累進課税制度を採用しているため、一定の基準までは収入が増えるほどに税率が高くなる仕組みです。
源泉徴収とは
年収が103万円を超えている場合、所得税は毎月の給与に対して発生しますが、その支払い方法のひとつが源泉徴収です。
源泉徴収は、毎月の給与から会社側が所得税を天引きして、従業員の代わりに納税することをいいます。
源泉徴収は会社側で行われるため、従業員は計算や手続きなどを行う必要がありません。
また、1年間で支払った所得税が適切か再度計算して必要な調整をする「年末調整」も会社側で行われます。
確定申告とは
確定申告は、自身で所得税を直接納める方法です。年末調整のような役割もあり、払い過ぎや不足分などの調整も行われます。
計算の対象となるのは、毎年1月1日から12月31日までに得た収入です。
なお、確定申告は原則として毎年2月16から3月15日までに行う必要があります。
アルバイトでも確定申告は必要なの?
アルバイトでも状況によっては確定申告が必要になります。しかし、不要な場合もありますので、判断のポイントや確定申告をした方が良いケースなどを確認しましょう。
確定申告が必要な人
1年間の合計収入が103万円を超えている人は、アルバイトであっても確定申告が必要です。
また、アルバイトを掛け持ちしている人は、一方の勤務先で年末調整されていたとしても合計所得を確定申告しなければなりません。
ほかにも、年収103万円以下で源泉徴収されていた人や勤務先で年末調整が行われない人は、確定申告が必要です。状況によっては還付金が得られる可能性もあります。
年末までにアルバイトを辞めた場合も、年末調整が行われないため自身で確定申告が必要です。
確定申告が不要な人
年収が103万円以下で、源泉徴収もされていない人であれば確定申告は不要です。
アルバイトを掛け持ちしている場合でも、合計年収が103万円以下なら確定申告する必要はありません。
確定申告をしたほうがよい人
株式や為替などで損失がある人は、確定申告することで翌年以降に所得控除を受けられる可能性があります。
また、年間10万円以上の医療費が発生した人や住宅ローン控除の適用初年度の人は、それぞれ医療費控除や住宅ローン控除の対象者です。
確定申告で控除を受けることによって、税額を減らせる可能性があります。
確定申告しなかった場合はどうなる?
申告の義務があるにもかかわらず、面倒臭いからと確定申告をしなかった場合、払い過ぎていた可能性のある税金の還付が受けられなくなります。特に103万ぎりぎりの給料をもらっているならば、所得税が還付されることもあります。これが返ってこないのは、大変もったいないことと言えます。
それでも手続きの手間をかけたくないと申告しなかった場合、無申告加算税が課せられます。これは罰則となり、納税額の15~20%も加算されます。さらに延滞税などがかかってくることがあるので、結果的に支払う税金が増えるのです。
ただし故意ではなく申告を忘れた場合、自分から税務署へ申告すれば、無申告加算税は免除か減率されることもあります。
確定申告と年末調整の違いとは?
ここで気になるのが、確定申告と年末調整の違いです。どちらも1年間の所得税を正しく計算し直して、還付または追加で払うという手続きです。その決定的な違いは、確定申告は納税者が直接税務署へ申告するという点で、年末調整は企業が雇用者に対して行うものという点です。つまり、年末調整は納税者が手続きをするものではありません。
アルバイトの確定申告!必要書類と手続きの方法は?
アルバイトの確定申告には必要となる書類がいくつかありますので、手続きの方法とあわせて確認しておきましょう。
必要な書類
確定申告には以下の書類が必要になります。
・確定申告書
・源泉徴収票
・控除証明書類
・マイナンバーカード
・本人確認書類
確定申告書は税務署などに用意してあり、AとBの2種類があります。「Bは正式版」、「Aは簡易版」と考えれば簡単かもしれません。アルバイトとして給料をもらっている場合には、基本的にAを使います。ただしBもAと同じ要素を含むので、Bを使って申告しても大丈夫です。
またどれくらいの所得税を払ったのかの証明となる、源泉徴収票も必要です。勤務先からもらえるものなので、必ずもらっておきましょう。勤務先が複数ある場合は、すべての勤務先からもらう必要があります。
確定申告では、勤労学生控除や医療費控除など、申告すれば控除されるものがあります。控除金額が大きければ、その分所得税を納めなければならない金額が減るので、納税義務も少なくなるのです。そこで、控除可能な部分はどんどん活用して書類を作成していきましょう。
さらにマイナンバーカードや免許証などの本人確認書類も、確定申告では必須となります。
手続きの方法
書類を揃えたら、税務署や特設の確定申告会場へ出向きましょう。専門の職員がいるので、初心者でも安心して申告が可能です。出向く際には、印鑑を持っておくと安心です。
またパソコンを持っている場合は、e-taxを利用することもできます。e-taxを使うと、自宅で簡単に確定申告が可能です。e-tax利用にはカードリーダーなどの機器が必要となりますが、手続きもスピーディーでおすすめです。
なおカードリーダーがない場合は、パソコンで確定申告書類だけを作成することもできます。そして作成した書類をプリントアウトし、必要書類を添えて税務署へ送れば手続きは完了です。確定申告の期限が迫る3月などは税務署などが特に混雑するので、こうしたパソコンでのサービスも活用すると良いでしょう。
詳しくは国税庁のサイトなどを確認するようにしましょう。
「確定申告書等作成コーナー」(国税庁)
「【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)」(国税庁)
アルバイトで確定申告を避ける3つの方法
アルバイトをしている人の中には、確定申告の手間を省きたいと考える方も多いでしょう。
ここからはアルバイトで確定申告を避ける方法を紹介します。
年末調整をしてくれるバイト先を選ぶ
アルバイト先が年末調整を行っているのであれば、自身で確定申告をする必要はありません。
ただし企業によっては年末調整を行っていないことがあるため、対応してくれるかどうか事前に確認しておくことが必要です。
注意点として、アルバイトを掛け持ちしている場合は、ひとつの会社でしか年末調整はできません。メインの勤務先にほかの勤務先の源泉徴収票を提出して、まとめて年末調整をしてもらう必要があります。
年収は103万円以下にして稼ぎすぎない
アルバイトの年収を103万円以下に抑えると、所得税が発生しないため確定申告が不要となります。
事前に職場に相談しておくと、勤務日程や勤務時間などシフトで調整しやすくなるでしょう。
また、配偶者控除や扶養控除の対象者であれば、年収103万円に抑えておくと控除の適用も同時に受けられます。
年末まで働く
年末調整は、年末まで在籍している従業員に対して実施されます。そのため、アルバイトを途中でやめると自身で確定申告しなければなりません。
しかし、年末までに新たにアルバイトを始めると、新しい勤務先で1年間の年末調整をしてもらえます。
アルバイトの確定申告に関するQ&A!
アルバイトの確定申告に関するQ&Aで多い、源泉徴収票の発行や確定申告の相談先などについて解説します。
バイト先が源泉徴収票を発行してくれないときはどうする?
基本的には、会社側は従業員に対して源泉徴収票を発行しなければなりません。
依頼しても発行されない場合には、アルバイト先からもらった給与明細書をすべて持参して、自身の住所を管轄する税務署に行きましょう。そこで、「源泉徴収票不交付の届出書」を提出することで対応してもらえます。
税務署に行くタイミングは、確定申告の時期に関係なくいつでも大丈夫です。
しかし、確定申告の期間は限られているため、源泉徴収票を発行してもらえないことが判明した場合は早めに対応しましょう。
確定申告についてよく分からない場合はどうしたらいい?
確定申告の方法や源泉徴収について分からない場合には、税務署に直接行って相談してみましょう。
その際、給与明細や医療費に関する書類などを持参すると、より具体的なアドバイスが受けられます。
ふるさと納税を行っている場合も確定申告に関係がありますので、納税後に何をすれば良いか分からない人も相談すると良いでしょう。
税務署では、不安や疑問に関しても丁寧に説明してもらえるため、気になることがあれば気軽に相談してみましょう。
まとめ
・年末調整を受けていない場合は、基本的に確定申告をする
・確定申告をしないと、納税金額が上がることがある
・年末調整は企業が行い、確定申告は納税者本人が直接行うもの
・必要書類を揃えたら、直接出向くかパソコンで申告を行う
アルバイトでも、中には確定申告が必要になるケースがあります。確定申告は手間がかかるというイメージが強いものですが、確定申告の正しい知識を持ち、損をしないようにきちんと申告していきましょう。