固定残業代を含む給与-求人広告で記載義務のある3つの項目と正しい記載例
その「給与」、「固定残業代」が含まれていませんか?
「固定残業」とは、一定時間分の時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する割増賃金を”定額”で支払うこととする労働契約を締結する仕組みのことを指し、この仕組みで支払われる割増賃金のことを「固定残業代」と呼びます。企業によっては「みなし残業手当」「一律残業」「定額残業」「見込み残業」「営業手当」など様々な名称が使われていることがありますが、それらをまとめて「固定残業」「固定残業代」と総称します。
2015年10月1日に施行された若者雇用促進法によって、固定残業制の場合は求人の広告にその旨を明記することが義務付けられています。この記事では、固定残業制の企業の求人広告を作成の際に注意したいポイントを解説します。
固定残業制の企業の求人広告に必要な「3つの記載」
求職者に誤解されない表記、わかりやすい表記が、”よりよい採用につながる”という観点からも積極的に取り組むべき課題ととらえ、求人メディアWorkinでは固定残業制の企業様の求人広告において以下の項目の記載を必須とさせていただいております。
<記載必須項目>
①固定残業代の金額
(例)「固定残業代50,000円」「みなし残業代4,000円」
②その金額に充当する労働時間数
(例)「30時間相当を含む」
③固定残業代を超える労働を行った場合、その分の手当を「追加支給」する旨
(例)「20時間を超える時間外労働は追加で支給」「超過分は別途支給」
固定残業代の明示に関するQ&A
Q.なぜ固定残業代を記載しなければならないの?
→ A.若者雇用促進法の指針で、上記①②③の明示が義務付けられています。
Q.「若者」対象の求人でなければ記載しなくていいの?
→ A.35歳未満の青少年が応募する可能性のある求人募集に適用とされていますが、労働施策総合推進法(旧・雇用対策法)によって年齢制限した求人募集が原則禁じられている現在、ほとんどの求人案件が対象の求人募集となります。また、例外的に35歳未満が対象となっていない求人案件につきましても、ハローワークではそれ以外の求人案件についてもルールの適用を求めています。求人メディアWorkinでもその方針に準拠し、「全ての求人広告」で3つの項目の明示を義務付けています。
Q.表記しない場合、どうなるの?
→ A.ハローワークでは2016年3月より労働関係法令違反の求人を受理しないこととし、職業紹介事業者などにもそれに準じた取り扱いを求めています。求人メディアWorkinでもルール違反の広告については掲載をお断りしています。
求人広告での表記の具体例
固定残業制の企業様の求人広告には①固定残業代の金額②その金額に充当する労働時間数③固定残業代を超える労働を行った場合、「追加支給」する旨、この3つの明示をして頂く必要があります。では、具体的な記載例とNGの表記を見てみましょう。
「固定残業代」「定額残業代」「みなし残業代」などを含んだ給与額を表記したい
月給制 月給250,000円
(固定残業代38,000円/20時間相当分を含む。20時間を超える残業代は追加で支給)
日給制 日給12,000円
(みなし残業代2時間分4,000円を含む。超過分は別途支給)
「固定残業代」を『営業手当』として一律支給しているので「営業手当」と表記したい
月給280,000円
(営業手当55,000円含む。営業手当は30時間分の固定残業手当として、時間外労働の有無にかかわらず支給。30時間を超える時間外労働は追加で支給)
『業務手当』という名称で「固定残業代」と「深夜割増手当」を定額で支払う仕組みの表記
月給270,000円
(固定残業代20時間・35,000円、深夜割増10時間・20,000円を含む。固定残業代、深夜手当は『業務手当』として支給。超過分の時間外労働は追加で支給)
問題のある記載例
逆に問題のある記載例はこちらです。
月給250,000円 (固定残業手当含む)
→NG理由:金額・時間数・超過分支給についての記載がない
月給250,000円 (固定残業代20時間分50,000円含む)
→NG理由:手当が充当している残業時間を超える残業が発生した場合は別途その分の手当が支給される旨の補足がない。
月給250,000円(夜勤手当5回分含む)
→NG理由:「夜勤手当」も固定残業制に該当するので、必要3項目の記載が必要。
以上が固定残業制の企業が求人広告に固定残業代を記載する際の注意点です。
固定残業代を求人広告に明確に記載しておくことで、求職者との応募後・入社後のミスマッチを防ぐことに繋がります。適切に記載するようにしましょう。
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